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妊娠

妊娠体験記録6 胎動はど根性ガエルのようなもの

胎動という言葉の響きには、「厚く守られたお腹の壁の内側で胎児がうごめく」みたいなイメージがある。少なくとも妊娠前私はそういうイメージを持っていた。

だけど、実際は違っていた。戌の日のお参りに行った日の夜、初めてお腹の中がプルンッと響いたのを感じた。「あ!これが胎動だな」と確信した。健診でも「もうそろそろ胎動あるんじゃない?」と先生に聞かれていたけど、「うーん…?ドクドク脈打ってるのは感じるんですけど…」と答えて「それは胃じゃない?」と言われた。このときまでは胎動をまだ実感していなかったのだ。

お腹の中がぴくんっぴくんっと勝手に動く。私の意思とはまったく関係なく。「体の中に、自分とは別の意思を持った人間がいる!」と衝撃を受けた。自分の体なのに、自分の生理とは全然関係ない動きをする者が中にいるのだ。こんなことが自分の身に起こったのは初めてだ。しばらく私は胎動があるたびにその不思議さに一回一回驚いていた。

胎動というものは、「そろそろ動くかな?」とか期待しながらお腹を見ていても「シーン」だし、何も意識していないときにこそいきなりお腹でピチピチ魚が跳ねるみたいな響きがある、そういうものだ(実際、胎児は新鮮な魚と同じくピチピチな生き物なのだ)。スマホの動画を構えていても、まったく思い通りに動いてくれないのでタイミング良くその瞬間を撮れたりはしない。でもそれは当たり前である、他人が自分の意思に基づいて動いているのだから。子育ての予兆というものをここに感じる。

そして、どんどん育って大きくなってくると、蹴られた部分がその足の形通りに盛り上がっているのを目撃できる。この感じ、何か見たことあるなと思ったら、あれだ、Tシャツの中(?)で進みたい方向にいきなり飛び跳ねてヒロシを前のめりにさせるど根性ガエルだ。妊娠後期になって手足の蹴りの力が強まるとお腹がブルブルブルブルと地揺れを起こす。まさに地震。お腹は地球なのだ。胎児が大きくなるほど、手足がお腹のシルエットを変形させる。その部分を触ると、お腹の皮を通して胎児に触れられ、その形を感じられる。お腹の皮と子宮の壁は思っているよりもけっこう薄い。お腹にいるときから子どもとスキンシップを取れるなんて、知らなかった。

この現象を夫にも感じてもらいたくて、よくお腹を触ってもらうし、夫のお腹に私のお腹をくっつけて疑似体験をしてもらうようにしている。お腹の皮膚を通して胎児の肉の固さを感じるたびに「いるな〜」と言っている。すぐ下に胎児はいて、明らかに人間が存在していることがリアルに理解できる。

ちなみに、蹴りが強すぎて「痛い」と感じたのは1回くらいしかない。それ以外は「痛い」の一歩手前の感覚で、何と表現したらいいのか分からないけど「うおお」という感じ。月齢が進むと、蹴りの衝撃だけではなくて、むりゅむりゅ、と動くのを感じる。この例えはあまりしたくないのだけど、蛇が動くみたいな感じが近い(私は蛇がこの世で一番嫌い)。

最近は胎動が当たり前のようになってきたが、「今日もちゃんと動くかな?」と不安に思うようにもなってきた。いつの間にか動かなくなったらどうしようと想像して恐れる気持ちが出てきた。最後まで無事で動いていてくれますように。

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