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妊娠

妊娠体験記録8 お腹は7か月めに一気にくる

妊娠を体験して初めて知ってびっくりしたことに、「お腹は徐々に大きくなるわけじゃない」という事実がある。あるとき一気に出てくるのだ。

私は6か月めのときに結婚式をしたのだが、「きっとギリギリ大丈夫だろう」と予測して、一か八かで海外のサイトで9号のウエディングドレスを買った。しかも、マタニティウエディングに推奨されないタイプのスレンダーラインのドレス。ぶわっと広がるやつより、シュッとしたやつの方が好みだし、本来の私の体型とかキャラクターとかに似合ってると自分で思ったからだ。

届いて着てみると、ウエスト周りは少し布が余る感じで「これはいけそうだ」と確信した。本番の日にも少し膨らみのラインが出るものの予定通り入ったし、パッと見では妊婦と分からないほどだった。あとから写真を見ても普通に通常体に見える。

ところが、そのあと2週間だったか程なくして「あれ!?」と思うようなお腹になっていた。お腹のでっぱりが「明らかに妊娠してる人」のものになっていたのだ。月1回の健診に行くと、お腹の子は800gくらいになっていた。「え!?」耳を疑った。前回4週間前に行ったときは400gくらいだったのだ。ピンと来ないかもしれないが、考えてみて欲しい。5か月くらいかけて、胎児はコツコツ体を大きくしていってようやく400gになったのだ。それが、その後4週間で一気にほぼ2倍になっている。今までコツコツ積み重ねてきた努力は何だったんだ…数100gだった塊が、いきなり1kg近くなるって…。ウエディングドレスを着た1か月後、「1か月遅かったら絶対着れなかったな…危なかった…」危機一髪を無事切り抜けられたような心境になった。

そして驚くことに、そのまた次の4週間後の健診では1300gくらいになっていた……2倍とはいかないが、2倍に迫る勢いの猛スピード成長である。そこからはこういう調子でどんどん増えていき、今はもう生まれてきてもOKな体重にすでになっている。

中高時代に授業で習った生物の発生の「卵割」の絵が頭にぽやぽや〜と浮かんできた。受精して最初は単細胞だった細胞が、2つになり、4つになり、8つになり……と倍倍で細胞数を増やしていって、分化していく。きっとあれと同じ原理だ。成長は2乗のスピードで行われるのだ。だからあるときから見た目に明らかなほど一気にお腹が出てくるのだ。

妊婦が妊婦らしさをそなえるとき、それは7か月めである。妊婦のトレードマークであるお腹のでっぱりが日常生活から切り離せなくなるのもその頃。歩いていて息切れしたり、骨盤ベルトをしないと腰の痛みがどうしようもなくなったり、しゃがむのが困難になったり、ハンデのある体になる。

だけどその分、お腹の中の存在が実在することに疑いようがなくなった。それまでは「本当にいるのかな?」「知らんうちに消えたりしてない?」という疑問符が毎日頭に浮かんだ。そして健診に行くたびに「ほんとにいるーー!!」と毎回驚いていた。だけど、この重み、この骨折りは紛れもなく存在することの証である。そして私の意思とは無関係に轟くデンデン太鼓の力強さも。この頃から、私たちの生活にもう1人の確かな影が少しずつ忍び寄ってくるのである。

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